相続節税を不動産で行う・伝家の宝刀

2023年末から厳しくなった相続節税。

大きなキッカケとなったのは
2022年のマンション不動産相続節税訴訟かと。

富裕層がなぜ不動産相続を利用するか
など、実例を踏まえてお話したいと思います。

目次

2022年4月 相続マンション訴訟

親が3人の子へ財産を相続させるため
マンション2棟を購入し
相続時の相続税を0円申告しました。

しかし訴訟で敗訴となり0円から一転しました。
興味深い内容でしたので、流れをまとめました。

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2009年 父親がマンション2棟購入

2棟で、約13億8700万円

この際、金融機関から借り入れ。
90歳過ぎて、この金額を借り入れる為には担保が必要であり相当な資産家であることが伺えます。

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2012年 相続(父親逝去)

2棟で、評価額約3億3000万円

路線価の計算で算出された金額。

借入金も相続している為、相続税0円

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2013年 マンション1棟売却

1棟で、約5億1000万円

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2016年 税務署 更正処分

税務署が、相続額と実勢価格の乖離が大きいため更正処分を申告

これを不服とした相続人が訴訟を起こす

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2016年 鑑定評価額決定

約3億3000万円 ⇒ 約12億7300万円

STEP
2022年 確定判決

評価額 約12億7300万円 確定

この金額に対しての相続税が計算され、追徴課税

最高裁判所は国税当局が再評価して追徴課税した処分を違法と認めたものの
国税当局が評価を覆す「伝家の宝刀」を使い、適用自体は追認した

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相続人は追徴課税を納付

0円 ⇒ 約3億3000万円

路線価

主要な道路に面した土地1平方メートル当たりの
1月1日時点の標準価格。

国土交通省が発表する公示地価の8割を目途に
国税庁が売買例や不動産鑑定士の意見などを参考に算出する。

国税庁は相続税などの申告で
土地の時価を把握する算定基準の一つとするよう通達で定めている。

実際には公示地価の7割程度と言われています。

不動産を相続しても相続税は現金で納めないといけません。
親から相続した不動産とはいえ、維持費・取り壊し等の費用などを考慮すると実勢価格より低くなるのは必然と感じます。古い家ならなおさらです。
ただ、これを利用した相続節税が行われている為、金額の大きな不動産相続には調査が厳しくなっているようです。

不動産節税が使われる理由

公示地価の7割程度になる、ということは
10億円の価値が、7億円の価値として扱われるからです。

10億円に対しての税金を払うより
7億円に対しての税金の方が安いです。

これが節税の理由かと。

相続税 基礎控除

相続する際、基礎控除という制度があります。

相続額-基礎控除の差額に相続税が発生します。

基礎控除額
3000万円+(法定相続人の人数×600万円)

例:配偶者・子3人
3000万円×(4人×600万円)
基礎控除額5400万円

この基礎控除5400万円の家族を例に、
相続税を表にまとめました。

こんな感じかな、と思っていただけたら。

相続額相続税
計算額
(相続額-基礎控除)
相続
税率
相続税
5400万円以下全額基礎控除00円
6000万円600万円10%
(1000万円まで)
60万円
8000万円2600万円15%
(3000万円まで)
390万円
1億円4600万円20%
(5000万円まで)
920万円
1億5000万円9600万円30%
(1億円まで)
2880万円
2億5000万円1億9600万円40%
(2億円まで)
7840万円
3億5000万円2億9600万円45%
(3億円まで)
1億3320万円
6億5000万円5億9600万円50%
(6億円まで)
2億9800万円
6億5400万円6億円55%
(6億円以上)
3億3000万円

路線価で計算することで、基礎控除の効力が発揮されます

伝家の宝刀 
総則6項

伝家の宝刀とは、家宝として代々伝わっている名刀の意から
いざというときだけに繰り出す、とっておきの物や手段

総則6項とは、国税庁の財産評価基本通達規定の一つ。
様々な財産の評価方法を細かく定めた国税当局の内部規則で
相続税などの財産評価は原則としてこの通達に沿った方法で計算する。
総則6項は例外規定のような位置づけなので、伝家の宝刀と言われる。

著しく不適当と認められる財産の価額は
国税庁長官の指示を受けて評価する

適用されると評価額が跳ね上がる場合があり影響は大きいが
何をもって「著しく不適当」と判断するかなどの明確な基準はない。

生前贈与

本人が生きているうちに相続を済ませたい場合は
生前贈与も出来ます。

しかし、逝去されたあとの相続よりも高い金額で相続しますし
贈与税も相続税よりも高いです。

どうしてもこの財産や資産は
この家族にという本人の希望がある場合
お金を出しても生前にすすめておきたい方がされるのではないでしょうか

例:親から子に1億円贈与
子は1億円に対する贈与税を納めなければいけません。
が、子に贈与税を納める現金がなく、親が払った場合、その払ってもらったお金にも贈与税がかかります。

まとめ

お金持ちは大変だと思いました。

読んでいただきありがとうございました

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